9日目

深部静脈血栓症(エコノミー症候群)防止のストッキング
 6:30検温後寝起きで腸をスッキリさせる。てっきり4cm位の例のアレかと思ってたら、スゲー長い管で100cc以上のビッグサイズとは。これ全部かよ! しかも大腸の構造上挿管してる左腹を下にして横になり(カナリ痛い)実施。痛いやら初めての妙な感じやらでワケワカラン。で、トイレは5分我慢してくださいとのことで楽勝だ!と思ったものの、ベッドから起きただけで敗戦濃厚。もうさ、あれを5分耐えたら勇者だって。俺は無理。つかギリギリだ。胸の痛さも忘れた。その後ひざまである圧迫ストッキングを履き、血栓症を防ぐ。脚が一周り細くなった感じ。
 7:30点滴開始。右手の甲の側の静脈。見ると痛そうなんだけど、よく採血する側のほうが痛いらしい。動くし。点滴(ラクテック電解質輸液)って初めてしたのでぶら下がってる液体が減っていくのがなんか不思議。
 8:30に親が付き添いで来院。8:45に麻酔準備薬で左肩に筋肉注射。点滴もそうだったんだけど、打つのがうまいのかあまり痛くない。その後すぐストレッチャーに乗り換えて、ずぅっと天井を見ながら手術室へ向かう。結構速い。ちょっとボンヤリ気味。
 9時過ぎに手術室に入った第一印象は"明るい"。なんかさ、ドラマだと演出上照明暗いじゃん。そのイメージ合ったので明るくてちょっと意外。チト考えりゃ当たり前だわな。例のデッカイ照明も見れました。ん〜、カッコイイ。 でストレッチャーから手術台に移し変えられる。もうこのあたりから、人がいるのはわかるけど、何やってるか意識が行かない。なんか担当医(執刀医?)が挨拶してたようなしてないような。その内に透明の例のマスクを付けられ、濃い酸素の匂いがする気体を深呼吸するよう指示される。

 ・・・・・・で2〜3回深呼吸・・・・・・。

 目が覚めたらいつもの病室のベッド。12:30頃。看護士さんがいろいろ準備の最中だった。 手術室の記憶は断片的に1分間あるかないかってくらい。あれ?手術は?って感じ。 手術は1時間半ほどで、予定より少し長めで終了。全身麻酔後、外側表面を見やすくする為左肺を少ししぼませるので酸素交換機能は半減。消化器系手術だと、TVで見る酸素マスクで肺にシコタマ酸素を送るけど、片肺のみ活かす場合は、その片肺まで直接チューブを挿して酸素供給。心臓に次いであまり止まらないほうがいいものなので、結構面倒みたい。無論片肺なので血の酸素供給が悪くなる為静脈血栓が起こりやすく、時間が長引くとそれだけで危険性が高まる。ま、2時間程度なら大丈夫らしいけど。
 ベッドでボンヤリしつつ周りを見渡すと、鼻には酸素チューブ(マスクではない)。右手は静脈に点滴、手首の動脈に生理食塩水注射。手首動かないように添え木をしてひじから先全部包帯でグルグル巻き。後々にわかったが、胸には心電図用にシールタイプのものを貼り、右脇に10cm大の送信機?へ繋がっていた。 で、左胴体からは例によって長い付き合いのチューブがまた入ってる。ただし、目的は初期の空気抜きではなく、手術中に体内に溜まった血液を抜くため。ま、痛いのに変わり無し。その為左腕が動かせず、ナースコールが届かなくてちょっと焦る。そんな状態なのでトイレも行けない訳で、知らないうちにカテーテルが入ってる。するってぇと、手術中、殆ど素っ裸な時間があったわけか。・・・お、全身麻酔でよかった。痛くは無いんだけど、巡回で量のチェックの際にチューブが動かされると、妙な感じ。ま、ここまで動けなくなると恥ずかしいとかそういうのがどうでもよくなりますな。もう"申し訳ないですがお願いします"てなもんで、仕事とはいえ大変だと思う。 この時にお見舞い来たら、あまりの姿にに気の毒な感じがして5分いられないと思う。
 結局麻酔が効いていたのか、付き添いの両親がいた日中は殆ど寝てた。体内に液体を直接入れ、体内から直接出してるせいか、お腹も減らないしトイレも行きたくないのは不思議な感じ。
 術後は1〜2時間おきに検温&様子見&出すためにお腹をギュウギュウ押す。 日中は良かったが、夜になると麻酔切れたらしく、左のチューブが入っているあたりが異常に痛くて全然寝付けず、15分寝て痛みでおきて数十分痛みをこらえてまた寝て、15分でまた起きる。を、大げさでなく一晩中繰り返してた。無論鎮痛剤は飲んでる。ま、痛みが皆無だったとしても、夜も検温などで1〜2時間おきに看護士さんが来るので熟睡は出来ないが・・・。来るたびに"痛いですぅ"と泣き言を言ってクッションを挟んだりカラダをずらしたりしたものの、一向に痛みが引かないし、前は痛ければ起き上がれば良かったが、それが出来ないので逃げ道無し。深夜3時頃になって我慢以外無いと諦めた。それからもずっと同じことの繰り返し。 看護士さんも頻繁に来るのでナースコールはしなかった。
 深夜2時頃の検温で、寝たままだと床ずれがあるので、少しでも良いから背中を浮かしたりするように言われた。何もこんな深夜に、と思ったが、静止して痛いなら動いて痛いのも関係無いし、どうせ寝られないので、痛み紛らわすために必死に動いてた。ハタから見ればもぞもぞ動いてた程度だと思う。全然紛れんかったが・・・。

 それにしても最近は病院によっては、事あるごとに極力歩いたり動いたりするように言われる。前回は移動式の吸引機じゃなかったから言われなかったが。 ま、病人然として動かなくなるし、前もってそれくらいしないとリハビリが大変だからだろう。傷口のある痛い左腕をちょっとずつ動かしてた。極端な話、やらないと腕が挙がらなくなってしまうらしい。